サッカーは広いピッチにボールはたった一つ。この広いピッチを有利に使うためのスタート時の選手の配置をポジションと言います。
少年サッカーでは、ポジションを決めていなかったり、理解できていない低学年の試合は、選手全員がボールに群がる「団子サッカー」と言われる状態になることがあり、「空いているスペースを1人で独走してゴール」なんてこともよく目にする光景です。
この団子サッカーも成長する上で重要な役割を担うと考える指導者もいるなど大切な経験となりますが、高学年になっていくにつれてポジションを決めて有利に試合を運ぶ必要性が高まってくるでしょう。
ポジションとは、大きく分けるとフォワード(F W)ミッドフィルダー(M F)ディフェンダー(D F)ゴールキーパー(G K)の4つに分類されます。
相手ゴールの最も近くに位置するポジション。
得点を奪う事が求められる攻撃的なポジションですが、相手にとって最初のD Fとして守備もF Wの重要な仕事の一つです。
少年サッカーでは人気の高いポジションですが、相手ゴールに対して後ろ向きでのプレー機会が多く、思うようにプレーできないと感じる選手もいます。
F WとM Fの間に位置し、攻守両面に顔を出す事が求められます。
間に挟まれているので、密集地帯でもボールを奪われないテクニックが要求されるポジションです。
センターM Fには、チーム1のテクニシャンが配置される事が多く、サイドにはスピードがある選手が務める事が多くみられます。
味方ゴールの近くに位置し、守備の要となるポジションです。
8人制の少年サッカーでは、攻撃の起点と考えるチームが多く、足元のうまさも必要となります。
大人のサッカーではフィジカル重視なイメージのあるセンターバックも、少年サッカーではテクニックに長けた選手が務める事もあります。
ゴールを守る役割で、唯一手が使えるポジションです。
ヨーロッパでは一番人気と言われているポジションですが、日本ではあまり人気が高いとは言えません。
少年サッカーにおいては、「G Kをやらされている」という感覚を持たれやすく、専任のG Kを作る事が難しいチームも少なくありませんが、拮抗した試合では良いG Kの有無で勝負を分けるほど重要なポジションです。
サッカーにはポジションの前にフォーメーションというものが存在します。
例えば、F Wが1人M Fが4人D Fが2人だと2-4-1(G Kは必ず1人なので省いて表現する事が多い)というフォーメーションになります。
このフォーメーションによって、M Fの中でもサイドハーフ、D Fだとセンターバックやサイドバックなど、さらに分類されていきます。
両チームが2-3-2だと1vs1の状況が生まれやすい事で、育成年代には良いと考えられており、日本サッカー協会も推奨しているフォーメーションです。
守備面では、F Wが2枚いる事で前線からのプレスがかけやすい利点があります。攻撃面ではサッカーで有利な状況と言われている三角形を作ったサポートがしやすいので、ポゼッション思考のチームには効果的と言われています。
デメリットは、守備時にF Wがかわされてしまった場合に守る人数が少ないので、一気にピンチを迎える可能性がある事、攻撃では最初の位置取りが良い分、選手の動きが少なくなってしまう事があるようです。
多くの少年チームが採用していると言われているのが3-3-1です。
バランスがとりやすい事が特徴で、攻撃・守備共に人数をかける事ができます。
サイドの選手がセンターをケアしたり、サイドバックがオーバーラップしたりなど、状況に応じて違うエリアへ行く事で有利な状況を生み出しやすく、戦術理解力も求められるのではないでしょうか。
M Fのセンターを2枚にする事で、メリットは中盤での勝負を有利に進める事ができる点です。
多くのチームがM Fのセンターにはスキルの高い選手を配置する事が多く、1vs1での対処が難しい場合などに検討することもあるかもしれません。
ピンチやチャンスの時に攻撃・守備ともに枚数が足りなくなってしまう事があり、採用するチームは少なめと言われています。
サイドバックを起点に、攻撃時は前の4人が流動性を持って動く事ができるフォーメーションです。
サイドハーフがいないですが、誰かがその位置に入ってくる事で、さらに空いたスペースに誰かが入るという流動性が生まれます。
攻撃時はこちらのアイデアで動けますが、守備時に混乱に陥ってしまわないかが懸念されます。
少年サッカーは日本では8人制、スペインでは7人制が採用されているなど、11人制で行われる中学年代以上に対して、特殊なポジションや役割が生まれています。
その中でいかに有利に試合を運べるか、自チームまたは個人のベストパフォーマンスを引き出す事ができる配置は何なのか、日々コーチ・保護者ともに答えの見つからない正解探しをしているケースもあるのではないでしょうか。
少年サッカー、特に選手が初めて所属するクラブにおいては、ポジションをずっと固定してしまうと「やった事がない」という適性以前の状態で止まってしまいます。
年代的にはトレーニングマッチや練習を通じて、まず「やってみる」という経験値の重要性は多く語られているところです。
「何が正解か」ではなく、サッカーを楽しむ事や理解していく過程にある少年サッカーの年代では、「やってみてどうだったか」を本人が経験していくことは必要になってくるでしょう。